沖縄とんでもない物語・お菓子編「沖縄ぜんざい・あまがし」

甘い豆と白玉に氷がコラボ

ジリジリと太陽の日差しが容赦なく襲って、もう夏本番。そろそろ食べたくなるのが「ぜんざい」。沖縄のぜんざいは、いわば沖縄版かき氷で夏の定番。あの温かなぜんざいとはまるっきり季節を異にするのです。
ぜんざいの上に真っ白でフワフワに削られた氷が山のように盛られているのが「沖縄ぜんざい」の特徴。中学校の近くにあるかき氷屋の不動のメニュー、土曜の部活の後は皆で集合なんてことも。子供から大人まで楽しめる夏のおやつなんです。

沖縄の冷やしぜんざい
見た目は、高さ15cm程の氷の山。氷のけずり具合でも
ぜんざいの味が変わる。沖縄のそば屋や食堂で食べることができ、メニューには「ぜんざい」と書かれている。

老舗のぜんざい屋でこの夏、初めてのぜんざいを注文。見慣れた赤い「氷」の文字の暖簾が迎えてくれた。丸テーブルにビーチにあるような白い腰掛け、注文した大きな白い氷の山が現れる。表面にシロップのかかったかき氷とは違って、冷たいだけの氷をひたすら食べる。やっと現れたのが、小豆よりも一回り大きな金時豆がゴロゴロ。黒糖の甘い汁をすくい、氷をのせて食べると、ほのかな甘みと豆の柔らかく崩れる食感がたまりません。沖縄のぜんざいは金時豆が主流。戦後、米国からの援助物資に金時豆が豊富にあり、安く手に入りやすかったことが広まるきっかけだったのかもしれません。

「白玉」との出会いもぜんざいを食べる時の小さなワクワク。硬めもあれば、丸い形が崩れるほど柔らかいのもあり、2、3個入っているだけでちょっと嬉しくなります。頬張った瞬間、外の暑さを忘れさせてくれます。

庶民に人気の夏の風物詩

戦後もようやく落ち着きはじめた1960年代、出始めの頃は「冷やしぜんざい」と呼ばれていたようです。今では、普通にどこにでもある氷ですが、そもそも氷はいつから沖縄に?と調べてみると、明治の初め頃、製氷機が登場し、その後沖縄に入ってきたようです。大正時代には氷専門店や沖縄そば屋で金時やかき氷が庶民の間で大人気に。夏の沖縄と氷の出会いに、古くからのぜんざいが加わって、今日の沖縄ぜんざいの誕生に結びついたのでしょう。

氷の山を崩していくと赤茶色の金時豆があらわれる。

猛暑の夏こそ伝統の「あまがし」

沖縄には、ぜんざいによく似た伝統の「あまがし」があります。氷はかかっていませんが、押し麦、緑豆、黒糖が使われ、押し麦を使うところに特徴があります。
現在は黒糖で甘味がありますが、昔は五月五日の端午の節句に麦粥に米麹を入れて発酵させたものへ砂糖を混ぜ、アマガシ(甘粕)といわれ、甘酸っぱいものだったようです。

菖蒲の葉を添えて食べるのは、王府時代から伝わる古い習慣。今でも子供の成長を願い作られています。緑豆には清涼感があり、口の渇きを抑える作用もあるそうです。

沖縄で涼を感じられる甘味、「沖縄ぜんざい」と「あまがし」。早くも関東など梅雨明けと猛暑。今年の日本列島は大変。大切な方の「ちゃーげんき(いつもげんき)」を願って、今月は冷たくしたあまがし作りに挑戦!

沖縄のスーパーに並ぶぜんざいとあまがし
今では「うちなーぜんざい」から「あまがし」とさまざまな種類が家でも手軽に楽しめる。

お客様担当 中地 香苗 (なかち・かなえ)

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